第20話 株式譲渡契約と表明保証
2度目のデューデリジェンス(DD)
基本合意契約をしてから再度DD。
以前のDD資料などはそろってるので財務、ビジネスと順調にDDすすんだ。
しかし法務DDで出てきた弁護士がヒアリングで痛いところをついてきた。
非合法ではないが一般的に広まっているあることにケチをつけてきた。
もちろんそれで取り締まられることもなければ誰もがやってることだった。
ファンドに雇われた弁護士は難くせをつけるのが仕事なのだろう。
結果それによる値引き交渉には応じなかったが株式譲渡契約の中の表明保証に一文付け加えられることになった。そのことにより万が一、会社に損害があれば一部補償するような条項が付いた。しゃくではあるが仕方ない。
しかしこの条項がのちにファンドである彼らと弊社の首を絞めることとなる。
その後DDも無事終わり、ファンドが投資委員会で対象会社の承認を得る流れとのことだ。
株式譲渡契約書(SPA)
次のフェーズは契約書の作成
今回の場合は、SPA(株式譲渡契約書)、マネジメント契約書、株主間契約書、の3つ。
素案が届いたので顧問弁護士とチェックする。
SPA(株式譲渡契約書)はM&Aに関わるメインの契約書。
ここには株式譲渡の条件や競業避止のこと、次項に書いてる表明保証などが記載されている。競業避止とは同じ業種は〇年間しちゃだめよということ。
同じビジネスはするつもりはないが期間を短縮してもらいました。
マネジメント契約書には「これからも〇年間は会長として働いてね」と書いてあった。
これは話し合いの通りだった。
株主間契約書はお互い株主として協力しようとか、先述のタグアロング条項などが盛り込まれている。
表明保証
SPAに書いてある表明保証。
表明保証とは、売り手が買い手に対して会社やDDの内容を保証すること。
売り手はデューデリジェンスなどで調査するがすべては把握できない。
そこで売り手は買い手に株式譲渡契約書で事業や財務、法務の状況にある程度は表明保証を行う。
まあ言ってることは分かる。
性善説に基づいて契約するんだし嘘ついてたら判らないこともあると思う。
ただ売った後に「表明保証している事由に起因して買い手が損害を受けたら弁済してね」ってのは怖い。保証の期間や範囲、弁済の限度額をすり合わせ合意した。
これも後記するが相場を知ってると知らないでは大きな違いだ。
何度かのやり取りをして各契約書は完成した。
通常であれば調印式するのだが、スケジュールの都合で私が署名調印したものを当日中に藤波さんが先方に走り契約書をドッキングするというイレギュラーな方法だった。
という訳で事務的で淡々とした調印だった。
まあ契約書をかわしてすべてが終了ではない。
入金及び株式の譲渡が行われることで全ての手続きが終了となる。
次は2週間後のクロージングを待つだけになる。
藤波さん「いよいよ大詰めですね。」
そういわれて嬉しいが何とも言えない気分になる。
藤波さんとはこの一年間ディープに付き合ってきた。
M&Aを途中で止めたくなって藤波さんを会社に呼びつけたこともあるし、
不安になり愚痴を聞いてもらったりもした、いわば同志であり戦友だ。
夜の銀座で記憶なくすまで飲み明かしたこともあった。
面倒なやり取りも多く大変な作業ではあったがそれも終わるとなると何とも寂しい。
とうとう藤波さんからの卒業も近づいてきた。
