サ行
・債務超過
企業の債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態であり、資産を全て売却しても負債を返済できない状態を指す。貸借対照表では「負債の部」の合計が「資産の部」の合計よりも大きい状態となるため、「純資産の部」がマイナスとなる。簿価ベースでの債務超過状態にあるものを簿価債務超過、資産や負債を時価評価した後の債務超過状態を実質債務超過という。
企業は債務超過となっても即座に倒産する訳ではないが、財務状態が悪化する中で金融機関からの新規借入は困難となるため、危機的な状態にある企業が殆どである。
・財務DD(財務デューデリジェンス/Due Diligence)
対象企業の貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、資金繰り表など過去の財務資料に基づき、企業の財務状況を詳細に分析すること。資産の妥当性や実在性、負債の網羅性、簿外債務の有無等の貸借対照表の確認、企業の本質的な収益力の確認などが行われる。
・シナジー効果
複数の事業の組み合わせにより、各事業が単体での取り組みよりも大きな経済的効果を出すことを指す。1+1=2ではなく、1+1=3以上の効果を出すイメージとなる。シナジー効果を求めて企業買収が行われるケースが多いが、シナジー効果の発揮にはM&A後のPMI計画の作成と実行が必要不可欠となる。
・守秘義務契約
情報開示の際に、情報開示者と情報受領者の間で情報の取り扱いに関して締結される契約。秘密情報の定義、開示範囲、秘密情報の処分方法、損害賠償条項等を規定している。形式としては両当事者が締結する同意書形式、情報開示者に対する差入型形式の2種類がある。
・CA(シーエー/Confidential Agreement)
M&Aの相手方やM&A仲介会社等のM&Aの関係者と締結する守秘義務を定めた契約を指す。一般的には秘密情報の定義、秘密情報を開示する相手の範囲、目的外使用の禁止、除外事項、有効期間、損害賠償事項等が記載される。秘密保持契約書、NDAと同義となる。
・事業承継
会社の経営者が会社を後継者に引き継ぐこと。未上場の中小企業では、事業承継と株式譲渡がセットとなる場合が多いため、株式買い取りの資金負担面から身内での事業承継が多くなる。実務上は株式譲渡と代表取締役の選任で事業承継は可能だが、経営ノウハウや従業員の承継など承継対象は多岐に渡る。
少子高齢化社会を迎える中で、後継者不足により事業承継ができず、企業売却や廃業を選択する中小企業が増加している。また事業承継に特化する形で投資を行う投資ファンド(事業承継ファンド)も存在する。
・時価純資産
時価評価した資産から時価評価した負債を差し引いた、時価評価された純資産を指す。実態純資産とも呼ばれる。売上債権の滞留債権や棚卸資産の滞留在庫の評価減、不動産の時価評価などに加え、退職給付債務や損害賠償等の簿外処理されている可能性のある負債も再評価が行われ時価純資産は算定される。
不動産を持つ中小企業の場合、不動産の時価評価により大きな評価益が発生することで、簿価純資産に比べ時価純資産が大幅に高くなるケースもある。中小企業のM&Aでは企業評価時の大きな目安となる。
・事業譲渡
会社の事業のうち特定の事業のみを売却するM&A手法。事業用の財産や権利のみならず、技術や仕入れ先・販売先、事業ノウハウ等の事業継続のための有形及び無形の財産を一括して譲渡するため、個別の財産や権利の売買とは異なる。
株式譲渡の場合は企業全体の売却となるが、事業譲渡では特定の事業部門の売却が可能。ただし会社法に基づいた事業分割手続きが必要となるため、株式譲渡に比べ一手間かかるM&A手法となる。
・純資産法
貸借対照表における資産の部と負債の部の差額である純資産の部を利用して株価を計算する方法。保有する有価証券や不動産などを簿価で評価する場合は簿価純資産法、時価評価する場合は時価純資産法となる。
・上場
株式などの有価証券を証券取引所で売買可能とすることを指す。株式における証券取引所への上場のみならず、商品における商品取引所などの上場も存在する。企業が株式を上場すると信用力が高まることで、資金調達の幅が広がるメリットがある。ただし証券取引所による上場審査(審査項目は企業の成長性や健全性など多岐に渡る)があるため上場のハードルは高い。IPOと同義。
・スキーム(scheme)
M&Aや資金調達時における“枠組み”を指す。国内金融業界などで住専問題が話題となった1990年台半ば頃から利用されるようになった用語である。
・ストラクチャー
M&Aを実行するための具体的な方法や手段を指す。事業実態に大きな影響はなくとも、どのようなストラクチャーを選択するかで、会計面や税務面に大きな影響が生じるケースがある。M&Aにおいては株式譲渡、事業譲渡、株式交換、会社分割、合併、第三者割当増資が主なストラクチャーとなる。
・SWOT分析(スウォット分析)
対象会社の内部環境としての競争優位性(「強み Strength」と「弱み Weakness」)、外部環境として対象会社が所属する業界の魅力度(「機会 Opportunity」と「脅威 Threat」)に影響を与える論点を抽出し、客観的な視点で対象会社の強みと弱みを明確にする分析手法を指す。M&Aにおいては、SWOT分析に基づき今後の事業戦略を立案するケースが多い。
