M&A用語

M&A用語 ア行

ア行

 

・相対取引(あいたいとりひき)

売り手と買い手が第三者を経由せず直接取引を行うこと。M&A会社などを経由せず、企業の売り手と買い手が直接買収の売買交渉を行うことを指す。売り手と買い手の合意ができればスピーディにM&Aを進めることができ、またM&A仲介会社などに支払う手数料も発生しない点がメリットとなる。一方で売り手側は市場価格より安い価格での売却となる可能性があり、買い手側は詐欺被害にあう可能性などのリスクもある。

 

 

・IPO(アイピーオー)

IPOとは「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略であり、未上場企業が新規に株式を証券取引所(株式市場)に上場することを指す。株式上場、株式公開ともいわれる。

IPOすることで企業は株式市場から資金調達が可能となる。また投資家は上場した株式について、株式市場を経由して自由に売買が可能となる。IPOを行うには主幹事証券会社を選び、証券会社のサポートを受けて証券取引所の上場審査をクリアすることが必要である。

  

 

・アドバイザリー契約書(advisory contract)

M&Aを検討するにあたり、売り手企業や買い手企業の候補先を探す際に複数のアドバイザリーに依頼すると情報漏洩のリスクがある。よって信頼できるM&A仲介会社などの1社をアドバイザーに選び、排他的な専任契約を締結することが一般的。業務範囲、秘密保持、報酬、免責等に関する事項が記載された書面をアドバイザリー契約書という。 

 

・アーンアウト条項(Earn out Clause)

M&Aが実行された一定期間の経過後、買収対象となった事業が特定の目標を達成した場合に、買い手企業が売り手企業の株主などに対して、事前に合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払う規定。

企業買収の対価を買収時に一括で支払うのではなく、買収後の一定の目標達成と連動させることで、リスクの適切な分配を行い、買収対価に関する売り手と買い手の見解の相違を埋めることを目的として活用される。実際に使用される財務指標としては、当期純利益、売上高、営業利益、EBITDA、営業キャッシュ・フロー、フリーキャッシュ・フローなどがある。具体的には買収の対価について、買い手が最初の段階で50%の支払いを行い、利益目標達成率などに基づき数年に分けて残りの買収金額を売り手に支払うイメージとなる。

買い手側は、買収後の企業業績の進捗とともに買収資金の支払いを行うことで高値つかみのリスクを避けることができる。また売り手側も企業売却後に一定の経営関与を行う場合、目標達成とともに買収金額の上積みが可能となるメリットがある。一方で売り手側は企業売却時に一括で売却資金を受け取ることができない、というデメリットがある。

  

 

・意向表明書(いこうひょうめいしょ / Letter of intent)

買収を検討する企業が譲渡対象となる企業や株主に対し、買収検討や企業提携の意思や基本的な条件を伝えるためのもの。企業提携の内容、買収希望価格、スケジュール、デューデリジェンスの実施、費用負担、秘密保持、法的拘束力などが盛り込まれる。

複数の企業から意向表明書が出された場合、選んだ1社と基本合意書を締結してM&A検討の次のプロセスに進む。尚、意向表明書の提出プロセスを省き基本合意書のみを締結することもある。

 

 

・EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization/イービッダー、イービットディーエー)

会計用語であり支払利息、税金、減価償却費を差し引く前の利益を指す。フリーキャッシュフローに企業の本質的価値があるという考えに基づいた指標。

各国で異なる税率や金利、減価償却方法を排除して企業の本質的な収益力を表すことができ、国際間での企業の収益力比較に使用されることが多い。またM&A後の企業再編によりのれん代が計上された後は、のれん代の償却方法により企業の収益力に大きな差が生じるが、EBITDAを利用することでM&A後の企業の本質的な稼ぐ力を表すことができる。

正確なEBITDAの算出には会計的に複雑な手続きが必要となるが、営業利益+減価償却費=EBITDA、として簡便な方法で算出されたEBITDAが利用されることも多い。

 

 

・EBO(イービーオー/ Employee Buy Out)

企業の従業員が金融機関等から借入を行い企業買収がなされる取引を指す。EBOを行う事で、それまでは経営に関与していない従業員が経営権を取得することになる。MBOManagement  Buy Out)は経営陣が行う企業買収手法である一方で、従業員が行う企業買収はEBOと呼ばれ区別されている。また経営陣と従業員が一緒に買収を行う場合はMEBOManagement and Employee Buy Out)と呼ばれる。

 

・EXIT(イグジット)

M&Aや投資業界では出口戦略と訳され、投資した資金を回収する手段や方法を指す。未上場企業の株式や不動産などの流動性の低い対象へ投資を行う際は、投資と投資回収方法をセットで準備することが回収リスクを下げることにつながる。具体的な資金回収方法としてはIPOや他社への転売(M&A)が一般的である。

M&Aでは株式の一括売却によりEXITが行われるだけではなく、段階的に株式を売却するEXITもある。

 

 

・EPS(イーピーエス/Earnings Per Share)

1株当たり利益を指す。税引後当期純利益÷発行済株式総数、の計算式で算出できる。PERを算出する際に必要不可欠となる。

 

 

・インフォメーション・メモランダム (Information Memorandum:IM)

M&Aの売却対象となる企業・事業の内容、財務内容、売却条件などを詳細に記載した概要書を指す。会社の沿革、事業内容、過去の財務諸表の推移とその分析、市場環境分析、中期事業計画などの企業の詳細かつ秘匿性の高い資料となる。よって秘密保持契約書の締結後に、売り手の了承を得た上で買い手候補先に開示される。

 

 

・営業権

企業の無形資産の一つで、貸借対照表に計上されない企業収益に直結するブランド力、技術力など社会的信用力の総称。のれん(暖簾)ともいわれる。

会計的には企業買収時に買収価格が被買収企業の(時価)純資産価格を上回る場合、その差額が貸借対照表の借り方に営業権(のれん代)として計上される。営業権は税務上5年で償却が行われる。会計上は国内基準では20年以内で企業が任意に設定した期間で償却が行われるが、国際基準(IFRS)では毎期減損テストが行われ、買収時の事業計画が順調に進捗する限りは償却の必要がない。ただし計画未達などの場合は一気に償却が迫られる。貸借対照表に巨額の営業権が計上されている企業の場合、減損により一気に債務超過となるケースもあるため、巨額の営業権を計上の企業は財務的なリスクを内在している。

一方、買収価格が純資産価格を下回る場合は「負ののれん代」が計上され、税務上・会計上ともに一回で全額収益計上が行われる。

 

 

・エスクロー(Escrow)

M&Aの代金のやり取りの際に第三者である金融機関が間に入り、取引の安全性を確保する仲介サービスを指す。買い手側がエスクロー口座に譲渡代金を振り込むことで、売り手側は売買代金の存在が確認できる。一方で売り手側に対し、現金の引き出しには投資条件の充足などを必要とすることで、売り手・買い手の双方が安心してM&Aの資金決済を進めることができる決済サービスである。

 

 
・SPA(エスピーエー/Stock Purchase Agreement)

株式譲渡契約書の英語表現であるStock Purchase Agreementの略称。M&Aの最終段階で締結する株式譲渡契約書を指す。

 

 

・SPC(エスピーシー/Special Purpose Company)

特定目的会社と訳される、M&A後の企業再編時に利用される企業を指す。M&Aを実行する際に、SPCを買収主体として金融機関から借入などを行い、少ない資本(投資金額)と多額の借入金を原資にレバレッジを掛けて買収する手法が利用される。買収後にSPCと被買収会社が合併することで、買収にともなう企業再編が終了となるケースが多い。

また税務上の観点(ex.節税メリット)から、海外のタックス・ヘイブンにSPCを設立した上で、海外のSPCを活用して対象企業の買収を行うケースもある。

 

 

・FA(エフエー/Financial Adviser)

財務アドバイザーと訳され、M&Aを検討する企業に対し、M&Aの計画立案からクロージングまでの一連の助言業務を行う者を指す。

譲渡企業及び譲受企業のどちらかと個別に契約を結び、一方のM&Aをサポートする(譲渡企業と譲受企業の両者と契約を結ぶことはない)。よって譲渡企業と譲受企業の双方がそれぞれFAを立ててM&Aを進めるケースもある。

 

 

・NDA(エヌディーエー/Non Disclosure Agreement)

秘密保持契約書と訳される。CAと同義。M&Aの手続きに際し、売り手企業が買収検討企業に対し開示する情報について、買収検討企業に秘密を保持させる義務を課す契約を指す。

秘密情報の定義、情報開示の範囲、目的外使用の禁止、有効期間、損害賠償に関する事項などが記載される。

 

 

・M&A(エムアンドエー/Mergers and Acquisitions)

企業の買収を指す。株式や事業の譲渡、企業の合併や分割などの様々な方法を総称してM&Aと呼ばれる。資本提携や業務提携を指すこともあるが、原則的には会社や経営権の取得を意味する。

M&Aは欧米で発達し、国内のM&Aは上場する大手企業中心に行われてきたが、近年では中小企業のM&Aも増加している。

 

 

・M&Aアドバイザー

M&Aに関するアドバイスやM&A成立までのとりまとめを行う専門家を指す。M&A成立に向けての助言や、スキーム案の作成、売り手・買い手の代理人としての交渉など、M&A成立に至る全過程に携わる。

銀行や証券会社などの金融機関、M&A専門会社などがM&Aアドバイザーの役割を担うケースが多い。FAM&Aコンサルタントの呼称も用いられている。

 

 

・M&Aブティック

M&Aアドバイザー業務を専門的に行うM&A特化型の専門家集団を指す。M&Aブティックの企業や事務所について、M&Aブティックファームと呼称されるケースもある。

売却希望企業や買収希望企業のアドバイザーに加えてM&A仲介も手掛け、M&A全般に関するアドバイスを事業として行っている。特定の業種(ex.ITやバイオ)や規模(ex.中小企業)に特化したM&Aブティックファームも存在する。

 

 

・MBO(エムビーオー/Management Buy Out)

企業の経営陣が金融機関やファンドなどから資金を調達して、事業部門や株式の買収を行い親会社などから独立する手法を指す。借入金も組み合わせたLBOスキームでのMBOが実行されるケースも多い。親会社からの独立時のみならず、上場企業が非上場化する際にもMBOが活用される。

 

 

・LOI(エルオーアイ/Letter of Intent)

日本語では基本合意書と呼ばれる、M&A実行の最終的な契約書の締結の前の段階で買い手と売り手の間で締結する合意書を指す。MOU(Memorandum Of Understanding)、覚書などとも呼ばれる。

基本合意書の締結により限定的な情報開示に基づく検討から一歩進み、デューデリジェンスなどの対象企業に対し直接的な質問対応を行う段階に進む。LOI締結後に、M&A実現に向けた具体的な協議に移行するケースが多い。

 

 

・LBO(エルビーオー/Leveraged Buy Out)

企業の買収資金を自己資本のみならず借入金も用いて調達することで、少ない自己資金で企業買収を行うM&A時に用いられるファイナンス手法。借入金の返済原資は買収企業の資産やキャッシュ・フローに依拠する。

買い手側企業の資産が少ない場合であっても、買収先企業のキャッシュ・フローを元に借入が可能であり、中小規模の企業が自社より規模が大きい企業の買収も可能となる。

 

 

・APV法(エーピーブイ法/Adjusted Present Value)

企業価値算定方法の一つ。事業から得られる将来のキャッシュ・フローが無借金の状態で得られると仮定して現在価値を算出した上で、借入を行うことによるキャッシュ・フローの増加分(利払いにかかる節税効果)もプラスして企業価値を算定する。ただし借入により財務リスクが高まる点は注意が必要。

LBOなどで負債が大きく動く企業や資本構成が大きく変化する企業の価値評価に適している。

 

 

・エンジェル投資家

未上場のベンチャー企業に対して投資を行う個人投資家を指す。自らIPOや企業売却の経験があるなど、起業家としての経験を持つエンジェル投資家も少なくない。投資に際しては資金提供のみならず、経営アドバイスも合わせて行われることも多い。

 

 

・オークション方式

M&Aの取引方法の一つ。1つの企業売却案件に対して複数の買収希望会社により入札が行われ、最もよい条件を提示した買収希望会社に対し独占的な交渉権を与える方法。

 

 

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20代で創業し二十数年、会社は右肩上がりに成長。 順風満帆なある時、次の目標達成のため引退を決意。 さまざまな方法を考えた結果、M&Aでファンドに事業譲渡。 現在は引継ぎも含め、会長として在任中。 社長を退いた後も会社は増収増益を続けている。 投資と遊びでセミリタイア中の筆者がM&Aをやってみて 良かったこと、悪かったことをつぶやいています。